蝸室ってどのくらい?

SS作者:野良
使用テーマ:蝸室


◆蝸室ってどのくらい?



雪歩の後ろについて、萩原邸の長い長い廊下を歩きながら、真はある言葉を思いだした。

「ねえ雪歩、この前収録した番組覚えてる?」
「えっと、バラエティ番組だよね。『日本人も知らない日本語!?』だっけ?」
「うん。ボク、あれで初めて『蝸室』って言葉を知ったんだけど。雪歩の家ほど『蝸室』って言葉が似合わない家はないよねえ」

数えきれないほど萩原邸に招かれているはずなのに、改めてしみじみとした口調である。
確かに堂々たる構えと広さ。蝸室ですが、などと言ってこんな豪邸に案内されても冗談か、悪ければ嫌味に聞こえてしまうだろう。
そんな真の様子に微笑みながらも、そんなことないよ、と雪歩は穏やかに言葉を返す。

「確かに蝸室っていう言い方はしたことがないけど、家の大きさなら伊織ちゃんの家のほうが大きいんじゃないかなぁ」
「うーん、伊織の家は洋風だからね。蝸室が似合わないのも当然というか・・・雪歩は自分の家のことをなんて言ってるの?」
「お茶やお花のときは『拙宅』が多いかな。」
「おっ、なるほどー!さすが武家屋敷っぽいね!」
「うぅ、うちは武家屋敷なんかじゃなくて普通の家だよぅ・・・」

そんな会話をしているうちに、庭に構えられた古めかしい小屋に辿り着く。

「うわぁ、ずいぶん本格的な部屋だね!なんだか緊張しちゃうなあ」
「うん、茶室はいくつかあるけど、どうせなら本格的なところで点てるのがいいかなと思って。今日は二人だけだし、中は落ち着く造りになってるから大丈夫だよ」

何を隠そう今日は女の子らしくなるための『特訓会』という趣向なので、雪歩の声も心無しか一段と張り切っていて、
まだ気後れしている真に、お先に、と声をかけると慣れた振る舞いで部屋へ入っていった。
その優雅な姿に暫し見とれていた真だが、我に返り特訓の決意を新たにしたようで、見よう見まねでにじり口を抜ける。

「へえ〜、確かにこのくらいの広さは落ち着くなあ。」

一部屋10畳20畳は当たり前の萩原邸内では見たことのない狭さの空間を物珍しそうに眺める真に、
「自分の家がこのくらいの大きさなら、『蝸室』って呼んでも差し支えなさそうだね」
と答える雪歩。

「ははっ、本当にね!プロデューサーは『蝸室ってのは俺の家みたいなのを言うんだよ』なんて言ってたけど」
「ふふっ」「っぷはは!」











〜その頃、事務所では

「はっくしょい!はくしょい!」
「・・・クシャミが2回ってことはゆきまこね」
「? 小鳥さん、何か言いましたか?」
「いいえ、なんでも♪」



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  • 最終更新:2011-05-14 01:55:29

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