告白

SS作者:クレリテ
題目消化:プライド(食卓は微妙…)

◆告白

私があずささんと同居……同棲を始めて、今日で丁度一ヶ月が立つ。

あずささんと関係を持ったのは、同棲生活初日だった。
私が春香に事務所と家の行き来の不便さを漏らしていた所を丁度あずささんが聞いて、

「千早ちゃん、よかったら私の部屋で一緒に暮らさない?一人だと広過ぎて寂しいのよ~。」

まだまだ駆け出しのアイドルで、給与的にも心許なく一人暮らし等到底無理だと考えていた私には願ってもない申し出だった。
なにより、いつも優しくしてくれて、仕事、プライベート共に尊敬しているあずささんの傍に居られる事で何かしら得るものがあるだろうと思った。

「でも、いいんですか?ルームシェアといっても、私の収入ではあまり足しにはならないと思うんですが…。」

やはり住まわせてもらうには、それなりの対価は必要だろう。と申し出てみたが…

「そんな事、気にしないでいいのよ~。私が千早ちゃんと暮らしたいだけだから。」

今思えば、この発言は"そういう事"を匂わせていたのかもしれない。

でもその時の私は、同性愛者という存在を頭の隅で認めてはいたものの、自分の人生とは無縁の存在だと決め付けていた。

「では…ありがたくお受けさせてもらいます。」

その時のあずささんの満面の笑顔は今まで見た中でも1,2を争う微笑みだったと思う。

膳は急げと、あずささんは張り切って引越しの手配をしてくれた。普段のおっとりしたあずささんとは思えない見事な手際の良さで。
そのおかげで翌日の夕方には、あずささんのマンションに荷物の搬入があらかた終わった。ここから荷物の配置等で悩むわけだけど。

「ひとまず休憩にして、お引越しソバ作りましょうか~。千早ちゃん手伝ってもらえる?」

いつのまにそんなもの用意してたんだろう…あずささんの異様な張り切り振りに違和感を感じつつも、きっと私の同居を心から喜んでくれてるのだろうと自分を納得させた。

台所はとても綺麗に整理整頓されていて、あずささんの真面目な人柄が環境から窺える。

「では、私が薬味を切りますね。あずささんはお蕎麦をお願いします。」

「うん、お願いね~。」

IHクッキングヒーターでお湯を沸かすあずささんを後ろ目に、私はまな板でネギを刻み始めた。

トントントントントントントン………

……?あずささんが妙に静かだ。事務所でお茶を入れる時はいつも鼻歌を奏でて楽しそうにしている印象しかないだけに、別段普通とも思えるこの静寂に違和感を感じる。

(……ちはやちゃん……)カプッ

「……ひゃっ!!??」

か細く、消え入るような、艶かしい声が右の耳にそっと入ってきたかと思った刹那の瞬間、その耳に少し痛いような、くすぐったいような、不思議な触感が襲った。

ぎゅっ……!未体験の感覚に襲われた次の瞬間には、後ろからあずささんの両の腕が私の腕を抑えるように力強く、でも締め付けないよう若干の余裕を持って抱きしめていた。

「…え!?あ、あの、あずささん…!?」

突然の、本当に、まったく想定していなかったこの状況に私は完全に困惑していた。

「…千早ちゃん…ごめんなさい…気付いてないって事はわかってたの…でも……私、本気だから。」

耳元で呟かれたその声は、贖罪の様相を呈しながらも、決意に満ちていた。

「…あずささん…?それって……っ!!??」

その言葉の意味を、未だ困惑して機能を十二分に果たしていない脳で、自分の日常と切り離していた可能性とを繋ごうとしていたその時、言霊を発した唇は私の耳を伝い、うなじ~首筋へと道筋を示すかのように濡らしながら進んでゆく。
それと同時に、体を縛り付けていた拘束具が、いままで散々触れていたあずささんの手とは思えない、自分の知らない未知の生物のような動きで私の身体を這う。その貪るような激しさの中に、私を決して傷つけまいという愛情のようなものも感じたが、その時の私には嫌悪感のほうが勝っていた。

「あずささん!だめです!こんな…女同士なんて…!」

同性愛の事を認めてはいたものの、いざ自分を対象として捉えるとやはり容認するのは難しかった。だけど…、

「…あ…んっ…あっ!だめですっ、そこは…んんっ…!」

これが愛撫というものなのだろう。そう頭の中で今起こっている出来事を整理しようと試みるも、脳の思考を妨げるような、今まで生きてきた人生の中で一度も使われた事のない神経を刺激する感覚に体中が自動的に反応し、歌う際に絶対出してはいけないような、甘美の声が漏れてしまった現実に恥辱で涙を浮かべながらも、その官能的な触感に抵抗する意思が少しずつ削がれていくのを働くことの出来ない脳で感じていた。

「…千早ちゃん…好きよ…。」

想いを明確な言葉にしたその艶やかな唇は、私の初めての接吻を優しく…徐々に貪るように奪った。

「…んっ……!!」

惰性に任せて受け入れてしまった唇から熱く火照った舌が、私の舌を、歯を、歯茎までも味わうかのように蠢いた。
普段口の中に常にあるものと、だけどそれとは全く違う生き物のようなものが自分の中で交わる奇妙な、それでいて刺激的な感覚は完全に私の脳を融かしてゆく。


……そのまま、私はあずささんと一線を越えてしまった。

一度受け入れてしまった手前、いまさら拒否するのもあずささんを否定するようで申し訳ない気持ちと…味わってしまった背徳的な快楽を身体に刻み込んでしまった私は、あずささんが求めるがままにその身を重ねてしまっている。

一日2~3回等当たり前で、二人の休日が重なった時は用事がない限り一日中絡み合う事もざらではなかった。



そんな日常を続けて3週間が立ったある日を境に、何の前触れもなく、あずささんから私を求める事がなくなった。

1日目にあずささんがおやすみをいって、そのまま自室に入っていくのをみて違和感を感じたが、今日は疲れているのだろうと思い、特に気にも留めず就寝した。

それが2日、3日と続き、さすがにこの違和感に耐えられなくなってきた。

そして4日目…。

「あの……最近、してませんよね…?」

自分で言った直後に顔が真っ赤になってるだろうとはっきりと分かるほど恥ずかしかったが問いかけてみたら

「うん、ちょっと…ね。ごめんね?」

そういって額に優しくキスをすると、いつものように自室に戻っていった。

ーーーーー私、何かしてしまったのだろうかーーーーー

ーーーーーもしかして、他に好きな人が……?-----

自分の部屋でなぜこんな状況になっているのか、何か自分に非があるのではないか、出ない答えに苛まれながら…私は自分を慰めていた。

5日、6日と同じ時が過ぎ、涙に濡れた枕に伏せていた私は決心した。

そして今日、丁度同棲を始めて1ヶ月が立つ日だった。

この一週間の、いつも通り、就寝の時間になって

「それじゃあ、おやすみなさい。」

そう言ってあずささんが自室に戻ろうとするその時に。

「あ、あずささん!」

勇気を振り絞ってあずささんを呼び止めた。

「……なぁに、千早ちゃん?」

平静なあずささんを前に、今から言おうと決めていた言葉で、今まで築いてきた関係が、あとかたもなく壊れてしまうかもしれない…そんな不安に喉が締め付けられそうになるも、"ここで言わないと何も変わらない"と自分に言い聞かせ

「…私が何かしたのなら、言って下さい!謝りますから!このままじゃ私、おかしくなりそう…!」

私の言葉を聞いたあずささんは、少しだけ、ほんの少しだけ微笑みを浮かべたような気がした。

「…千早ちゃんは何もしてないわ。これは私のわがままなの…ごめんなさい。」

”わがまま”…その言葉と僅かに浮かべた微笑を繋げたら、答えがはっきりとした。

「あ、あの…その……。」

あずささんの求める答えがはっきりとわかっていても、妙なプライドが邪魔をしてうまく言葉に出せない。

そんな私を見かねたあずささんが優しく抱きしめる。

「千早ちゃん……。」

耳元で囁かれた、少し悲しそうなあずささんの声で私は決心を固めた。

「あずささん…。私、あずささんが好きです!」

はっきりと、そして多分、生まれて初めて人に告白した。
言った直後、恥ずかしい思いで身体中沸騰しそうなくらい熱くなってしまったが

「千早ちゃん…ありがとう、私も好きよ。」

あずささんが私の告白に答えてくれた瞬間、私の心のどこかに潜んでいた背徳感は昇華された気がした。
張り詰めていたものが切れたかのように、私の中から想定していなかった大粒の涙が零れだしてきた。

「千早ちゃん、ごめんね。無理やり言わせちゃったけど、私不安だったの…。強引につき合わせてるだけじゃないかって…」

私が煮え切らなかったばかりに、あずささんを不安にさせていたのだと思うと申し訳ない気持ちで一杯になった。

「あずささんごめんなさい…。私、もう自分の気持ちに正直になりますから。」

そう伝えると、あずささんはうっすらと浮かべていた涙を拭いながらとてもうれしそうな笑顔で

「そう……じゃあ、今からどうしてほしいか…千早ちゃんの口から聞きたいな?」

………!!!

少し思考してから、あずささんの求める答えを頭の中で台詞にしたところで羞恥心の沸点を突破した。

「……言わなきゃ、ダメですか……?」

あずささんは満面の笑みで、

「自分の欲望に、正直に生きるのよね?」

若干改変されているが、確かにそう言ってしまったのは事実なので、しょうがなく…

「じゃ、じゃあ…その……して…くれませんか…?」

あずささんは、更に嬉しそうな表情で

「…なにをしたらいいのかしら~?」

あずささんのドSの片鱗を味わいつつ…最後の壁を粉砕する覚悟を決めた。

「……エ、エッチ…してください……!!」




その後は情熱の続く限り重なり合った。翌日からも平常通りの運行です。身体が持たないかもしれません。ほんとうにありが(ry

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  • 最終更新:2010-03-27 19:41:04

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